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親が歩けなくなったら最初にすること|理学療法士が家族へ伝えていた対応

「最近、急に歩けなくなってしまって……」

「このごろ、だんだん歩き方が悪くなってきました。」

介護の現場では、このような相談を数え切れないほど受けてきました。

家族が一番心配するのは、「もう歩けないのではないか」「年齢のせいだから仕方ないのではないか」という不安です。

しかし、理学療法士として多くの高齢者を見てきた経験からお伝えしたいことがあります。

歩けなくなったことよりも、「なぜ歩けなくなったのか」を考えることが大切です。

急な変化なのか、少しずつ進んだ変化なのかで、考えられる原因や対応は大きく変わります。

この記事では、私が現場で家族へ実際にお伝えしていた内容をもとに、歩けなくなったときに最初に確認したいポイントを解説します。

目次

急に歩けなくなったのか、少しずつ歩けなくなったのかを確認しましょう

介護現場で私が最初に家族へ質問していたのは、たった一つです。

「急に歩けなくなりましたか?それとも少しずつですか?」

この答えだけでも、その後の対応は大きく変わります。

急に歩けなくなった場合

昨日までは普通に歩いていたのに、急に歩けなくなった場合は注意が必要です。

急激な変化の背景には、

  • 脳卒中
  • 骨折
  • 感染症
  • 脱水
  • 慢性硬膜下血腫

など、治療が必要な病気が隠れていることがあります。

「年齢のせいかな」と様子を見るのではなく、まずは医療機関へ相談することをおすすめします。

少しずつ歩けなくなった場合

一方で、数か月から数年かけて徐々に歩けなくなった場合は、

  • 加齢による筋力低下
  • 活動量の減少
  • 小さな脳梗塞の積み重ね
  • パーキンソン病などの神経疾患
  • 関節や腰の病気

などが重なっていることが少なくありません。

久しぶりに帰省した家族が、

「前よりずいぶん歩き方が変わった。」

と気付くケースも多く経験しました。

歩けなくなったときに見逃してはいけないサイン

転んで頭を打ったことはありませんか?

転倒後に頭を打っている場合は注意が必要です。

慢性硬膜下血腫は、転倒直後ではなく数週間から1か月ほどかけて歩き方や様子が変わることがあります。

「最近なんとなく歩きにくそう」

そんな変化が続く場合は、一度受診を検討しましょう。

痛みが続いていませんか?

高齢者は骨がもろくなっているため、軽い転倒でも骨折していることがあります。

初回の診察では異常が見つからなくても、

「やっぱり骨折していました」

というケースは珍しくありません。

痛みや歩きにくさが続く場合は、再受診も大切です。

歩けなくなると転倒の危険性が高まります

歩けなくなるということは、転倒しやすくなっているサインでもあります。

介護現場では「転倒ドミノ」という言葉を耳にすることがあります。

一度転ぶと自信を失い、活動量が減り、筋力が低下します。

するとさらに転びやすくなり、次の転倒では骨折などの大きなけがにつながることがあります。

だからこそ、「まだ歩けるから大丈夫」と考えるのではなく、転倒を防ぐための対策を早めに始めることが大切です。

家族へ必ず伝えていたこと

私が家族へ必ずお伝えしていたのは、

「歩けなくなった原因を確認することが最優先です。」

ということです。

急な変化であれば、まずは医師へ相談します。

一方で徐々に歩けなくなった場合は、病気だけが原因ではありません。

病気による体の変化に、筋力低下や活動量の減少が重なり、歩く力が落ちていることがほとんどです。

そのため私は、

  • 運動する習慣はあるか
  • 外へ出る機会が減っていないか
  • 家の中で安全に歩ける環境か

といった生活全体を確認し、ご本人と家族が続けられる方法を一緒に考えていました。

病気だけを見るのではなく、生活全体を見ることが、歩く力を維持する第一歩だと考えています。

「年齢のせい」と決めつけないでください

「もう歳だから仕方ないですよね。」

これは家族から本当によく聞く言葉です。

もちろん加齢は影響します。

しかし、急な変化や転倒後の歩きにくさ、痛みを伴う歩行障害は、「年齢のせい」で済ませてはいけないことも少なくありません。

一方で、徐々に歩けなくなった場合でも、運動習慣や住環境を見直すことで転倒予防や生活の質の維持につながることがあります。

原因を知り、早めに行動することが、ご本人の生活を守ることにつながります。

よくある質問

急に歩けなくなったら救急車を呼ぶべきですか?

状況により呼ぶべき状況もあり得ます。

急に歩けなくなったことに加え、ろれつが回らない、片側の手足が動かない、意識がはっきりしないなどの症状があれば、脳卒中などの可能性もあるため、すぐに救急要請を検討してください。

強い痛みがある場合も救急車対応になります。

#7119など救急車を呼ぶべきか相談できる窓口に連絡し、呼ぶべきかどうかを相談すると安心です。

病院では異常なしと言われましたが安心していいですか?

ひとまずは安心です。

しかし高齢者では後から骨折が見つかったり、慢性硬膜下血腫が判明したりすることもあります。

痛みや歩きにくさが続く場合は再受診を検討しましょう。

リハビリを始めればまた歩けますか?

原因によって異なります。

病気の治療が優先される場合もありますが、早期に適切なリハビリを始めることで歩行能力の維持・改善が期待できるケースは多くあります。

特に老化や運動不足が根底にある場合は、デイサービスやデイケアに通う事で改善する方が大勢います。

少しずつ歩けなくなった場合は何を見直せばいいですか?

運動習慣、外出の頻度、住環境、転倒歴、服薬状況などを確認しましょう。

生活全体を見直すことで改善できることもあります。

生活内での活動量や範囲を見直すことで、歩く力を取り戻す方も多いです。

デイケアや訪問リハビリなどリハビリ専門職の支援もおすすめです。

ケアマネジャーに確認すれば、利用できるサービスが相談できます。

家族だけで介護しても大丈夫でしょうか?

無理を続けると家族の負担が大きくなります。

介護保険サービスや地域包括支援センターなども活用しながら、早めに相談することをおすすめします。

まとめ

親が歩けなくなったときは、「もう歳だから」と決めつけず、まずは急に歩けなくなったのか、それとも少しずつなのかを確認することが大切です。

急な変化であれば病気が隠れている可能性があり、早めの受診が必要です。

徐々に歩けなくなった場合でも、病気だけでなく筋力低下や生活環境が影響していることは少なくありません。

介護現場で多くの家族と関わってきて感じるのは、「もっと早く相談していれば」という場面が決して少なくないということです。

歩けなくなった原因を知り、必要な医療やリハビリ、生活環境の見直しにつなげることが、ご本人らしい生活を長く続けるための第一歩になります。

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この記事を書いた人

リハビリ専門職として病院・訪問リハビリ・介護保険分野などで20年以上現場に関わってきました。現在は介護施設の運営支援や現場改善にも携わっています。実際の現場では、介護疲れや家族関係、仕事との両立など、多くの悩みや葛藤を見てきました。このサイトでは、“理想論だけでは続かない介護”を前提に、一人で抱え込みすぎず、少しでもラクに続けるための現実的な情報を、現場経験をもとに発信しています。

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