病院から
「退院前に家屋調査をしましょう。」
と言われて、
「家屋調査って何をするの?」
「家を片付けた方がいいの?」
「大がかりな工事になるのかな…」
と不安になるご家族は少なくありません。
私も病院で退院支援に関わる中で、多くのご家族から同じような相談を受けてきました。
実際には、家屋調査は家を評価するためのものではありません。
退院後に安心して生活できるよう、ご本人の生活に合わせて環境を整えるための大切な時間です。
この記事では、家屋調査で確認するポイントや準備しておきたいことを、現場経験をもとに分かりやすく解説します。
家屋調査は「安全に暮らす方法」を一緒に考える時間です

家屋調査と聞くと、
「家の悪いところを指摘されるのでは?」
と心配される方もいます。
しかし、そのようなことはありません。
私がご家族へ最初にお伝えしていたのは、
「大切なお家です。無駄に傷つけたり、大がかりな工事を勧めたりすることはありません。」
ということでした。
家屋調査の目的は、ご本人が安全に生活できる方法を一緒に考えることです。
家屋調査では何を見るのでしょうか?
家屋調査では、主に次のような場所を確認します。
- 玄関
- 廊下
- トイレ
- 浴室
- 寝室
- 階段
- 駐車場から玄関までの動線
そして、単に家を見るのではなく、
「実際にどう生活するか」
という視点で確認していきます。
手すりは「歩く場所」より「動作が変わる場所」に必要です
「廊下全部に手すりを付けた方がいいですか?」
と質問されることがあります。
しかし、多くの場合はそうではありません。
転びやすいのは、
- 立ち上がるとき
- 座るとき
- 方向を変えるとき
- 段差を上がるとき
など、動作が切り替わる場面です。
そのため家屋調査では、
ご本人が実際にどのように立ち上がり、どこへ手をつき、どのように歩くのかを確認しながら、必要な場所を一緒に考えていきます。
やみくもに手すりを増やすのではなく、
必要な場所に必要な工事を行うことが大切です。
福祉用具は試してから選ぶこともできます
「車いすはどれがいいですか?」
「介護ベッドは必要ですか?」
こうした相談もよく受けました。
実は、介護保険で利用できる福祉用具の多くは、レンタル前に試せる場合があります。
実際に使ってみることで、
「思っていたより使いやすい。」
「こちらの方が生活に合っている。」
と分かることも少なくありません。
焦って購入するのではなく、ご本人の生活に合うものを選ぶことが大切です。
住宅改修には介護保険を利用できます
「工事にはたくさんお金がかかりますか?」
という質問もよくありました。
介護保険では、対象となる住宅改修については**20万円まで(自己負担割合に応じて1~3割負担)**利用できます。
対象となる工事には、
- 手すりの設置
- 段差の解消
- 滑りにくい床材への変更
- 扉の変更
などがあります。
すべてを工事する必要はありません。
ご本人の生活動線に合わせて、本当に必要な場所だけを整えることが大切です。
完璧を目指さなくても大丈夫です
家屋調査を終えたご家族からは、
「思っていたより大がかりではないんですね。」
「試しながら生活していけばいいと分かって安心しました。」
という声をいただくことが多くありました。
退院前にすべてを完璧に準備する必要はありません。
実際に生活してみると、新たに必要なことが見えてくる場合もあります。
だからこそ、
まずは安全に生活を始められる環境を整えること
を目標にしましょう。
よくある質問
家屋調査では家を片付けた方がいいですか?
普段どおりで大丈夫です。
生活の様子が分かった方が、より適切な提案につながります。
家屋調査には誰が来ますか?
病院のリハビリスタッフや退院支援担当者、ケアマネジャー、福祉用具専門相談員などが参加することがあります。
手すりはたくさん付けた方が安心ですか?
いいえ。
必要な場所だけ設置した方が使いやすく、安全な場合が多いです。
福祉用具は購入しなければいけませんか?
介護保険ではレンタルできる福祉用具も多く、事前に試せる場合もあります。
家屋調査は必ず行う必要がありますか?
すべての方に必要というわけではありませんが、退院後の生活に不安がある場合は、とても役立つ機会になります。
まとめ
家屋調査は、家を評価するためではありません。
退院後に安心して暮らす方法を、一緒に考えるための時間です。
私が現場でご家族へお伝えしていたのは、
「必要な場所に、必要な工事を入れましょう。」
ということでした。
手すりをたくさん付けることが目的ではありません。
ご本人が毎日の生活を安全に、そして無理なく続けられる環境を整えることが大切です。
退院前にすべてを完璧に準備する必要はありません。
まずは一歩ずつ、ご本人に合った暮らしを一緒に作っていきましょう。

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