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認知症の親が「家に帰りたい」と言うのはなぜ?家族が知っておきたい対応と現場で伝えてきたこと

認知症の親が「家に帰りたい」と繰り返し言う姿を見て、「どう声をかければいいのだろう」と悩んでいませんか。

何度説明しても同じことの繰り返しになり、嘘をつくことにも罪悪感を感じる方は少なくありません。また、本人が悲しそうな表情をしていると、「本当に家へ連れて帰ったほうがいいのでは」と胸が苦しくなることもあるでしょう。

私は介護・リハビリの現場で、ご家族からこのような相談を何度も受けてきました。

この記事では、認知症の方が「家に帰りたい」と言う理由と、ご家族へ実際にお伝えしてきた対応について、現場経験を交えながら解説します。

目次

認知症の親が「家に帰りたい」と言うときは、無理に説明するより安心できる関わりを意識しましょう

「家に帰りたい」と言われると、「ここが今のお家だよ」「もう施設で生活することになったんだよ」と説明したくなるかもしれません。

しかし、認知症の方に何度も説明を繰り返すことは、必ずしも良い結果につながるとは限りません。

まずは安心できる関わりを意識することが大切です。

「家に帰りたい」は環境の変化による不安から出ることが多い

施設へ入所したばかりの方や、病院へ入院したばかりの方は、環境が大きく変わります。

私が現場で関わってきた中でも、入所直後に「家へ帰る」「家族はどこ?」と話される方は珍しくありませんでした。

環境が変われば、誰でも不安になります。

認知症の方は、その不安や混乱を「家に帰りたい」という言葉で表現していることがあります。

必ずしも自宅へ帰りたいという意味だけではなく、「安心できる場所へ戻りたい」という気持ちが込められている場合も少なくありません。

何度も説明すると、かえって興奮してしまうこともある

ご家族としては、「きちんと説明すれば分かってくれるはず」と考えるのは自然なことです。

しかし、認知症では説明した内容を記憶として保ち続けることが難しい場合があります。

そのため、何度も同じ説明を受けることで、「責められている」「否定されている」と感じ、興奮してしまう方もいます。

現場でも、説明を繰り返すより、不安な気持ちを受け止めながら話題を変えたほうが落ち着く場面を多く経験しました。

安心できる話題に気持ちを向けてもらうことが大切

「今日はお茶を飲んでから考えましょう」

「お昼ご飯を食べてからにしましょう」

このように気持ちを少しずつ別の方向へ向けることで、不安が和らぐことがあります。

また、ご本人が自宅で好きだったことや、毎日の習慣を取り入れることも安心につながります。

「好きな音楽を流す」「昔の話をする」「趣味の話題を取り入れる」など、その人らしい生活に近づける工夫は、気持ちを落ち着かせるきっかけになります。

私がご家族によくお伝えしていたこと

ご家族から相談を受けたとき、私がお伝えしていた内容があります。

最初は多くの方が同じような反応をされます

入所したばかりの頃は、「家に帰りたい」と話される方は決して珍しくありません。

私はご家族へ、「最初は皆さん同じような反応をされます。少しずつ生活に慣れていく方が多いので、一緒に見守っていきましょう」

とお話ししていました。

この言葉を聞いて、「うちの親だけじゃなかったんですね」と安心されるご家族も多くいらっしゃいました。

ご本人の習慣を教えていただけると支援しやすくなります

施設職員は、ご本人のことを知るために、ご家族からのお話をとても大切にしています。

例えば、

  • 朝起きて最初にしていたこと
  • 好きな食べ物
  • 趣味や楽しみ
  • 呼ばれ慣れている名前
  • 落ち着く話題

こうした情報があることで、ご本人が安心できる関わりにつなげやすくなります。

実際に、ご家族から教えていただいた情報がきっかけで、笑顔が増えたり、不安が和らいだりした方も多くいました。

具体的に昔のアルバムや、家族の写真などを置いておくと、それを話題に気持ちが切り替わることもあり、ご用意いただくこともありました。

家族の協力が必要なときは、一緒に考えながら進めます

施設だけで対応が難しい場面では、ご家族へご相談することもあります。

それは、「家族に任せたい」という意味ではありません。

ご本人が安心して新しい生活に慣れていけるよう、一緒に支えていきたいという思いからです。

慣れるまでの期間は、ご家族・施設・担当者が協力しながら進めることが、とても大切だと考えています。

こんなときは早めに相談しましょう

「家に帰りたい」という言葉だけではなく、次のような様子がある場合は、施設職員や担当のケアマネジャー、医療機関へ相談することをおすすめします。

  • 興奮が強く、落ち着かない状態が続く
  • 食事や水分が十分にとれない
  • 夜眠れず、昼夜逆転している
  • 急に症状が悪化したように感じる

認知症だけでなく、体調の変化や病気が影響している場合もあります。

よくある質問

嘘をついてもいいのでしょうか?

無理に事実を伝えて悲しませるよりも、不安を和らげる関わりが優先されることがあります。

その場の安心につながる声かけを意識し、対応に迷う場合は施設職員や担当者へ相談しましょう。

家へ連れて帰れば落ち着きますか?

一時的に安心される方もいますが、必ずしも解決するとは限りません。

再び施設へ戻る際に混乱が強くなることもあるため、施設職員と状況を相談し、具体的に段階や対策を相談することが大切です。

施設職員も家族の意向を詳細に知ることで、対応の精度があがるため、本人にとっても良い環境になることが多いです。

毎日「帰りたい」と言われます。どうすればいいですか?

毎回説得しようとせず、気持ちを受け止めながら話題を変えたり、好きなことに気持ちを向けたりする対応が効果的なことがあります。

施設生活には慣れるものですか?

個人差はありますが、多くの方は少しずつ生活リズムが整い、環境に慣れていきます。

不安なことがあれば、一人で抱え込まず職員へ相談してください。

本人を中心としたチームで関わることがとても重要です。

家族はどんな協力ができますか?

ご本人の生活習慣や好きなこと、落ち着く話題などを職員へ伝えることは、大きな支えになります。

ご家族にしか分からない情報が、安心できるケアにつながることも少なくありません。

まとめ

認知症の方が「家に帰りたい」と言う背景には、環境の変化による不安や混乱が隠れていることがあります。

何度も説明して納得してもらおうとするよりも、不安な気持ちを受け止め、安心できる関わりを意識することが大切です。

私が現場で出会ってきたご家族も、最初は「どう対応すればいいのか分からない」と悩まれていました。

それでも、症状への理解が深まり、職員の対応を見ながら少しずつ接し方を覚えていくことで、「これでいいんだ」と安心される方が多くいました。

認知症の方だけでなく、ご家族にも新しい生活に慣れていく時間が必要です。

一人で抱え込まず、施設や担当のケアマネジャーと協力しながら、その人らしい生活を支えていきましょう。

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この記事を書いた人

リハビリ専門職として病院・訪問リハビリ・介護保険分野などで20年以上現場に関わってきました。現在は介護施設の運営支援や現場改善にも携わっています。実際の現場では、介護疲れや家族関係、仕事との両立など、多くの悩みや葛藤を見てきました。このサイトでは、“理想論だけでは続かない介護”を前提に、一人で抱え込みすぎず、少しでもラクに続けるための現実的な情報を、現場経験をもとに発信しています。

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