「最近、親がよく転ぶ…」と不安になっていませんか?
以前は問題なく歩けていたのに転倒が増え、「年齢のせいだから仕方ないのかな」「もう自宅での生活は難しいのかな」と不安になっていませんか?
私は理学療法士として急性期・回復期・生活期のリハビリに携わり、その後は介護施設の管理者として、多くの高齢者やご家族から転倒について相談を受けてきました。
そのとき、私はいきなり「筋力が落ちていますね」と原因を決めつけることはありません。
まず状況を整理し、本当に必要な支援は何かを考えていました。
この記事では、高齢の親の転倒が増えたときに家族がまず取るべき行動と、相談する前に整理しておきたい5つのポイントをご紹介します。
高齢の親の転倒が増えたら、「様子を見る」のではなく相談してください
高齢の親の転倒が増えたときは、「年齢のせいだから仕方ない」と様子を見るのではなく、一度専門職へ相談することをおすすめします。
急に転倒が増えたり、普段と違う様子がある場合は、病気やケガが隠れている可能性もあるため、まずはかかりつけ医など医療機関へ相談してください。
一方で、緊急性が高くない場合でも、ケアマネジャーや理学療法士などのリハビリ職へ相談することで、住環境や福祉用具、介護サービスを見直し、転倒を減らせるケースも少なくありません。
私自身も、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員と連携し、自宅環境を見直すことで転倒が減り、「まだ家で暮らせますね」と安心されたご家族を何人も見てきました。
反対に、「年齢のせいだろう」と様子を見ていた結果、病気が見つかったケースもあります。
大切なのは、一人で判断しないことです。
そのためにも、まずは現在の状況を整理して相談することから始めましょう。
相談する前に、まずは落ち着いて状況を整理しましょう

高齢の親が転ぶ姿を見ると、「もう自宅では生活できないのでは」と焦ってしまうことがあります。
しかし、転倒には体の状態だけでなく、生活環境や体調の変化、病気など、さまざまな要因が関係しています。
私も現場では、まずご家族から詳しく話を伺い、状況を整理することから始めていました。
ここからは、実際に私が最初にお聞きしていた5つの質問をご紹介します。
① いつから転ぶようになりましたか?
これは、私が最初にお聞きしていた質問です。
「最近よく転ぶ」と感じていても、
- 1か月前から少しずつ増えたのか
- ここ数日で急に増えたのか
- 月に1回だったものが毎週起こるようになったのか
では、考えられる原因も対応も変わってきます。
ご家族にとっては「最近」という一言でも、医師やケアマネジャー、リハビリ職にとっては、とても大切な情報です。
変化が急激である場合は何らかの不調が背景にあることが多いため、受診をおすすめします。
受診や相談をするときは、「いつ頃から」「どれくらいの頻度で」と具体的に伝えられるよう整理しておくと、状況を共有しやすくなります。
どこで転ぶことが多いですか?
次に確認していたのは、転倒した場所や時間帯です。
例えば、
- トイレへ向かう途中
- ベッドから立ち上がるとき
- 玄関の段差
- 夜中にトイレへ起きたとき
- 朝起きてすぐ
など、転ぶ場所や時間帯には、その人なりの傾向が見えてくることがあります。
実際にご自宅を訪問すると、「毎回同じ場所で転んでいた」というケースは珍しくありませんでした。
場所が分かれば、手すりの設置や家具の配置、照明の見直しなど、具体的な対策を考えやすくなります。
転ぶ以外に変わった様子はありませんか?
転倒したことだけに目が向きがちですが、私はご家族へもう一つ質問していました。
「転ぶ以外に、何か変わった様子はありませんか?」
例えば、
- 元気がなくなった
- 歩くスピードが遅くなった
- ぼんやりしていることが増えた
- 食欲が落ちた
- 痛みを訴えるようになった
- 以前より反応が鈍くなった
こうした変化は、転倒の原因を考える大切な手がかりになります。
実際に私が関わったケースでは、「年齢のせいだと思っていた転倒」の背景に、病気やケガがあることも少なりありませんでした。
もちろん、転倒が増えたからといって、必ず病気が隠れているわけではありません。
しかし、「年齢だから仕方ない」と決めつけず、転倒以外の変化にも目を向けることが大切です。
「何かいつもと違う」と感じることがあれば、早めに相談してみてください。
家の環境は、今の体の状態に合っていますか?
高齢になると、体の状態は少しずつ変化していきます。
そのため、以前は問題なく生活できていた家でも、今の体には合わなくなっていることがあります。
例えば、
- 手すりが必要な場所にない
- 段差につまずきやすくなっている
- カーペットが滑りやすい
- 夜間の照明が暗い
- 杖や歩行器が今の体の状態に合っていない
ご家族があまり想像つかいないことが影響で転倒しているケースも少なくありません。
私が関わった方の中には、ケアマネジャー、理学療法士、福祉用具専門相談員が一緒に自宅環境を見直したことで、転倒が大きく減ったケースもありました。
「転ばないように気を付けましょう」だけでは、転倒は防げません。
今の体の状態に合わせて生活環境を整えることも、大切な転倒対策の一つです。
「年だから仕方ない」と思っていませんか?
ご家族から相談を受けると、
「もう年だから仕方ないですよね。」
という言葉を聞くことがよくありました。
確かに、年齢とともに筋力やバランス能力は少しずつ変化します。
しかし、それだけで転倒のすべてを説明できるわけではありません。
これまでお伝えしたように、
- 転倒が増えた時期
- 転ぶ場所や時間帯
- 体調や歩き方の変化
- 住環境や福祉用具
などを整理していくことで、原因や改善のヒントが見つかることも少なくありません。
実際に私が関わった方の中にも、医療機関で原因が分かった方や、住環境を見直したことで安心して生活を続けられるようになった方がいました。
だからこそ、「年だから仕方ない」と一人で抱え込まないでください。
状況によって、協力して取れる対策はたくさんあります。
まずは、かかりつけ医やケアマネジャー、理学療法士などの専門職へ、詳しい状況を相談してみてください。
一緒に原因を整理し、その人に合った方法を考えていくことが大切です。
こんなときは早めに医療機関へ相談しましょう
次のような場合は、「様子を見よう」と判断せず、早めに医療機関へ相談してください。
- 転倒して頭を打った
- 急に転倒が増えた
- 手足の動かしにくさやしびれがある
- 強い痛みが続いている
- ぼんやりしている、反応が鈍い
- 普段と比べて明らかに様子が違う
転倒の背景には病気が隠れていることもあります。
「いつもと違う」と感じたときは、早めの受診をおすすめします。
まとめ
高齢の親が最近よく転ぶようになると、不安になるのは当然です。
しかし、転倒が増えたからといって、すぐに「年齢のせい」と決めつける必要はありません。
まずは状況を整理し、医療機関やケアマネジャーなどの専門職へ相談してみてください。
原因が分かれば、治療につながることもあります。
また、住環境や福祉用具を見直したり、介護サービスを利用したりすることで、自宅で安心して生活を続けられるようになるケースも少なくありません。
一人で抱え込まず、まずは相談することから始めてみてください。
状況によって、協力して取れる対策はたくさんあります。
あなたやご家族に合った方法を、一緒に考えてくれる専門職がいます。

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