退院が決まり、車いすが必要になるかもしれないと言われると、
「車いすは買った方がいいの?」
「どんな車いすを選べばいい?」
「レンタルでも大丈夫?」
と不安になるご家族は少なくありません。
私も退院支援や在宅生活の支援を行う中で、同じような相談を何度も受けてきました。
実際には、車いすはカタログだけで選ぶものではありません。
ご本人の身体の状態だけでなく、自宅の環境や生活スタイルに合わせて選ぶことが大切です。
この記事では、退院前に知っておきたい車いす選びのポイントを、現場経験をもとにお伝えします。
車いすは「買う」より「試して選ぶ」ことが大切です

「車いすが必要です」と言われると、すぐに購入を考える方もいます。
しかし、多くの場合は慌てて購入する必要はありません。
介護保険を利用できる場合は、レンタルできる車いすも多く、実際に試しながら選べることがあります。
私が現場で一番お伝えしていたのも、
「まずは試してみましょう。」
ということでした。
車いすは種類によって使いやすさが大きく変わります
車いすにはさまざまな種類があります。
- 自分でこぐ「自走式」
- 家族が押す「介助式」
- 長時間座りやすいタイプ
- コンパクトで持ち運びしやすいタイプ
見た目は似ていても、使いやすさは大きく異なります。
ご本人の身体の状態や、ご家族がどのように介助するかによって、適した車いすは変わります。
車いすは「家」に合わせて選ぶことも大切です
車いすは、ご本人だけに合わせれば良いわけではありません。
自宅の環境もとても重要です。
例えば、
- 玄関を通れる幅があるか
- 廊下は曲がりやすいか
- トイレへ入れるか
- 車に積み込みやすいか
自宅で使用する場合は、小回りの利く6輪タイプであったり、自走のためのハンドル部分を外したり、自宅にあわせて使いやすいよう工夫することも多くあります。
退院前の家屋調査や福祉用具専門相談員のアドバイスを受けながら選ぶと安心です。
実際に押してみると印象が変わることがあります
「車いすなら移動も楽ですよね。」
そう思われるご家族は少なくありません。
しかし、実際に押してみると、
- 少しの段差
- 厚いカーペット
- 上り坂
- 砂利道
などでは、想像以上に力が必要になることがあります。
だからこそ、カタログだけで決めるのではなく、実際に試してみることが大切です。
現場でも、ご家族は試乗したあとに、
「思っていたより重いですね。」
「こちらの方が押しやすいですね。」
と気づかれることがよくありました。
介護保険を利用して試しながら決めましょう
介護保険を利用できる場合は、車いすをレンタルできることがあります。
必要に応じてレンタル前に色々試すこともできますし、合わない場合は種類を変更するのも容易です。
ご本人の状態に合わせて調整しやすいことがメリットです。
私がご家族へおすすめしていたのは、
「まずは試して、ご本人にも介助する家族にも合うものを選びましょう。」
ということでした。
焦って購入するよりも、生活に合った車いすを選ぶことが、長く安心して使うためのポイントです。
よくある質問
車いすは購入した方がいいですか?
介護保険が利用できる場合は、まずレンタルを検討することをおすすめします。
生活に合うか試してから判断できます。
自走式と介助式はどちらがいいですか?
ご本人が自分で移動するか、ご家族が介助するかによって異なります。
それだけでなく、自走式はタイヤが大きく、介助式はタイヤが小さい特徴があります。
表のようなタイヤの大きさによるメリット・デメリットを考慮し、介助で使うけれどもタイヤの大きい自走式を使うこともあります。
| 項目 | 大きいタイヤ(24~26インチ) | 小さいタイヤ(16~20インチ) |
|---|---|---|
| 自走のしやすさ | ◎ 少ない力で長く進める | △ 何度もこぐ必要がある |
| 段差・溝 | ◎ 乗り越えやすい | △ 引っかかりやすい |
| 屋外走行 | ◎ アスファルトや砂利道に強い | △ 振動が大きい |
| 小回り | △ やや大きく回る | ◎ 狭い場所で動きやすい |
| 車への積み込み | △ 少しかさばる | ◎ コンパクト |
| 重量 | △ やや重い | ◎ 軽いことが多い |
| 介助 | ○ 普通 | ◎ 介助専用車いすに多い |
車いすを使うと歩けなくなりますか?
車いすは「歩かなくする道具」ではありません。
安全に移動し、生活の幅を広げるための福祉用具です。
必要に応じて歩行練習と組み合わせることも大切です。
車いすは家の中でも使えますか?
使えますが、廊下やトイレの幅、段差などによって使いやすさが変わります。
自宅環境に合うものを選びましょう。
車いすはどこに相談すればいいですか?
ケアマネジャーや福祉用具専門相談員、病院のリハビリスタッフへ相談すると、ご本人に合った車いすを提案してもらえます。
まとめ
車いすは、「歩けなくなった人のための道具」ではありません。
ご本人らしい生活を続けるための福祉用具です。
私が現場でご家族へお伝えしていたのは、
「まずは試してみましょう。」
ということでした。
車いすは種類によって使いやすさが大きく異なります。
また、ご本人だけでなく、自宅の環境や介助するご家族に合っていることも大切です。
慌てて購入するのではなく、介護保険も活用しながら、実際に試して選ぶことで、ご本人もご家族も安心して在宅生活を始められます。

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